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【CPU】Core Ultra 7 270K Plusを超徹底レビュー!24コアで6万円台なintel渾身のヤケクソCPU

Aile
Aile

どうも、CPU大好き人間、Aile(エイル)です

てな訳で、今回はAMDへの競争力を失いつつあるintelがついにヤケクソになってしまったのか、本来であれば10万円級の24コアCPUをなんと6万円台という価格でブチ込んできたのがこちらの製品だ。その性能をレビューしていきたい。

この記事を見ればこのCPUの特性を掴むことが出来、また性能の強み・弱みから、どんな人に向いているのかまでを詳しく、いや超徹底レビューしていきたいと思う

◆更新履歴
2026/7/1 ページを新規作成 New!!

「Core Ultra 7 270K Plus」のスペック

Core Ultra 200Sシリーズ一覧

Core Ultra 200Sシリーズ主要モデルを比較

「Core Ultra 7 270K Plus」(型番が長いため以下「270K+」と省略する)を同社のCore Ultra 200Sシリーズ主要モデルと並べてみた。この世代は内部的にArrow Lakeアーキテクチャを採用している。

また「270K+」はArrowLakeのリフレッシュ製品であるため、実質的に「Intel 15.5世代」と呼びたい所ではあるのだが、一応公式では初代Core Ultra 200Sシリーズの後期版・改良版といった立ち位置となっている。そのため本記事でも後期版として扱うこととする。

そしてその中で「270K+」は8P+16Eを搭載し、いわゆる「ハイエンドモデル改」に相当するCPUとなっている。

「リフレッシュ」とは?

Intel CPUにおけるリフレッシュとは簡単に言えば微改良版、という意味に近い。過去に8世代→9世代の際の「Coffee Lake Refresh」や、13世代→14世代の「Raptor Lake Refresh」が存在する。これらのリフレッシュ製品では世代が更新されていたが、中身はほぼ同じなのに別世代ということで消費者から見るとやはりややこしい。そのため今回は世代は更新されずに200番台を継続している。

そのため改めて注意しておくのだが、このCPUは「Arrow Lake」を別設計で作り直した次世代CPUではなく、あくまで同じ設計のまま微改良・調整した結果、コア数内部接続等が強化された後期版というニュアンスが近い。

競合CPU一覧

競合製品・前モデルと比較したスペック表

基本的なスペックは前世代モデルの「265K」とそこまで変わらない。ただ最大の強化点として、無効化されていたEコア4基が追加されたことにより、コア構成が「8P+12E」→「8P+16E」の24コアに強化されている。これで文字通りIntelのフルスペックのCPU、つまり元々のフラッグシップモデルの「Core Ultra 9 285K」と実質ほぼ同じCPUになってしまった!というのがこの「270K」となっている。そのため実質的に「285K」の値下げ版、と捉えても良いだろう。

スペックは大まかに
・24コア24スレッド(8P+16E)
最大ブーストクロック5.5GHz(変化無し)
合計76MBキャッシュ(L2キャッシュ40MB + L3キャッシュ36MB)
TDP 125W / PL 250W
・DDR5-7200のサポート(+800MHz)

カタログスペック上では、Eコア搭載数の増加意外はほぼ変化無しと思ってもらって構わない。その点はやはり「リフレッシュモデル」という印象だ。

ソケットは「LGA1851」続投

そしてソケットの互換性については引き続きLGA1851ソケットを採用している。ちなみにリーク情報ベースにはなるが、LGA1851ソケットはこのリフレッシュでサポート終了とされており、次世代へマザーボードを流用できる可能性は低い。

そのため次世代にマザーボードを使いまわしたい人は気がかりなポイントかもしれない(IntelにもAMDソケットのサポートの長さを見習ってほしいものだ。)

マザーボードは「BIOS更新」に注意
原則800番台チップセットの最新BIOSが必要

そしてマザーボードについては「800番台チップセットマザーのBIOSを更新」して使う形となっている。そのため、このCPUを使用する人はBIOSのバージョンに要注意だ(古いBIOSだと動かない可能性がある)筆者の経験則上、新規在庫で買えば最新BIOSになっている場合が多いが、マザボを流用するパターンなどではBIOSアプデが必須となるため、そこは要注意ポイントだ。

また、「ArrowLake」の発売時はマザーボードがやや高価であったものの、現在では価格もかなり落ち着いている。そのためお好みの「Z890マザーボード」と組み合わせるのが個人的にオススメだ

販売価格

2026年7月時点のドスパラ正規品販売

価格については、2026年7月時点の国内正規品で約6万円台。

正規品の価格で考えた場合、主な比較相手は同価格帯のRyzen 9 9900Xや初期型の「Core Ultra 7 265K」になると思われる。ただし、この「270K+」はあまりにもコスパが突出しており、10万円級の「9950X」と直接比較が可能なCPUとなっている。そのため記事後半の動作検証においては、そういったCPUとの比較に注目だ。

インテル
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実はintel CPUで「一番人気」です

各種ランキングについても、圧倒的なコスパにより人気はそこそこある模様だ。価格コムの売れ筋ランキングだと第4位(intel内1位)に位置し、より実売数に近いアマゾンの売れ筋ランキングでも第6位(intel内1位)に位置している。

これはIntel CPUの中ではぶっちぎりで人気な結果となる(それでもRyzenの人気には届いていないが)。また、このリフレッシュの発売にあたっても、「intel史上最速」という点が謳い文句でもあるため、「今6万円台で買えるIntel内で最強CPU」という点もファンからしたら十分購入に値する理由になるのではないだろうか。

内部構造と進化点

CPUの内部構造

ArrowLakeの内部イラスト(intel)

チップの製造については引き続き大半が台湾TSMC製造となっており、コア(Compute tile)のプロセスルールは3nm(N3B)となっている。もちろん元の「ArrowLake」となんら変わりはない。

実はデスクトップ向け向けでは「最新」プロセス
主要なプロセスルール一覧

かなりニッチな話になってしまうが、TSMC N3Bは190MTr/mm2のトランジスタ密度を誇り、デスクトップPC向けのCPUとしてはトップクラスの最新プロセス採用CPUでもある。

しかしながら、長年にわたって自社工場で製造してきたIntelとしては初の社外製造CPUという点もあってか、Intel CPUとしては動作クロックは控えめとなっている。(N3Bの特性や電力効率を重視した設計なのかもしれないが)そのためクロック周波数の向上は次世代に期待したい。

進化点の詳細

チップレット構造のイラスト(intel)

そして肝心の設計面についてだが、コア数増加以外で最大の変更点はこことなる。元のArrow Lakeでは「ゲーム性能が伸び悩む」という最大の弱点があったのだが、今回の後期版ではその原因の一つと考えられている「CPU内部の通信遅延」に改善が入れられている。

高速道路で例えるならば、「最高速度を引き上げたのではなく渋滞していたジャンクションを作り直した」といった感じになっている。

「ArrowLake」の弱点について詳しく

「Arrow Lake」では設計が刷新され、CPUコアを搭載するCompute tile、内蔵GPUを搭載するGPU tile、各種入出力を担当するSoC tileなど、複数のチップを組み合わせたいわゆる「チップレット構造」になった。

設計の自由度が上がる一方でこれには弱点もあり、各機能が別々のタイルに分かれている以上、例えばCPUコアがメインメモリへアクセスする際には、コンピュートタイルからSoCタイル(メモリコントローラー内蔵)へデータをやり取りする必要がある。

こうしたタイル間の通信には遅延が伴うため、コア自体の性能が向上していてもアクセスの待ち時間が増えてしまえばゲーム性能等が伸びにくくなる。

初代「Arrow Lake」では内部の遅延がゲーム性能を伸ばしにくくしていた原因だと言われていた。そこでIntelはCPUタイル間の接続高速化を図るため、後期版ではDie-to-Dieの周波数(矢印の部分)を2.1GHzから3.0GHz(900MHz)引き上げられた。

これによりメモリアクセスの待ち時間短縮、ゲーム時のレイテンシ改善効果が期待でき、とても簡単に言うと、「内部の通信が詰まりにくくなったというニュアンスが近い。リフレッシュでのCPU内部の改善としてはこれが最大の強化ポイントとなっている。

やっぱりArrowLake「後期型」

逆に言えば、コアの改善点は内部レイテンシの改善のみである。やはりこの製品はCPUの根本的な部分は据え置きというのは大前提で、PコアとEコアのアーキテクチャ、TSMC N3Bプロセス、
内蔵GPU&13TOPSのNPUなど、根幹部分は初代Arrow Lakeから変更無しとなっている。

やはりその点からも、ArrowLake改、ArrowLake後期型という印象だ。

性能検証 (一般用途)

検証環境について

検証パーツ一覧

今回テストを行った検証パーツは上記の通り。

基本的にほぼ同じパーツで統一しているが、世代が違う部分については適宜、利用可能なマザーボード・メモリを採用している。

またマザーボードのBIOSは原則最新版を使用しているため、比較として使用するintel 14世代はintel default settingsが適用されている。

性能検証-レンダリング

まずはCPUの総合的な性能を計測する3Dレンダリング処理のベンチマーク「Cinebench」及び「Blender」の結果がこちら。特にCinebench R23はCPUのベンチとしては非常に定番のアプリではあるが、これだけがCPUのパフォーマンスを代表する訳ではないので注意いただきたい。

マルチ性能」とは?

マルチ性能というのは、全部のコアが全力で動いた時の性能の目安だ。
複数スレッドを利用した並列的な処理、例としては画像の書き出しや動画のエンコードなどの「クリエイティブ的な処理」、または複数のソフトを立ち上げて同時に動かす「マルチタスク作業」など、重量級の負荷発生時のパフォーマンスに主に影響する。
いわば「CPUの馬力」みたいなものと考えると良いだろう。

「270K+」のマルチ性能については、Eコアが4基増量された分、元の265Kからしっかり強化(約13%)という印象だ。R23のスコアは脅威の4万1000点を記録しており、もはや「Ultra 9 285K」や「Ryzen9 9950X」にほぼ匹敵するフラッグシップ級のマルチ性能となっている。

価格を考えるとこれはまさしくコスパ最強(マルチ性能)で、例えば同じ価格帯の「Ryen9 9900X」と比較すると+29%、「Ryzen7 9700X」と比較するとほぼ2倍もの圧倒的なマルチ性能となっている。6万円台で最高水準のマルチ性能が手に入るのはかなり魅力的だ。

もはや「万人にはオーバースペック」のマルチ性能?

補足だが、このベンチマークでは単純にコア数が多ければ多いほど高いスコアを記録することが出来る。そのため、この一点のみでCPUを評価することは避けたい。レビューする側としても各ソフトの総合的な実効性能を検証した上で評価したい。

また筆者の個人的な所感ではあるが、R23におけるスコアが3万点以上の場合、一般的なユーザーの利用用途だと過剰になる水準だと感じている。例えばスコアが2.5万点を超えるCPUでは、ゲーム+配信程度のような用途についてもCPU使用率に余裕が生まれ、一般用途ではもはやオーバースペックと呼べる次元に突入する。

そのため、過剰なマルチ性能があっても2026年時点の環境では持て余す可能性が高い。勿論利用者にとってはそれが必要になる場面はもちろん存在するのだが、あくまで特定の用途に限られてくるといった印象だ。

上記の理由から、自分の用途だと果たしてどれだけマルチ性能が必要なのか?という点はこのCPUを検討する上で重要なポイントとなるだろう。

レンダリング-シングル性能

レンダリング-シングル性能
「シングル性能」とは?

シングル性能というのは、コア一つあたり性能の目安だ。
実際の利用シーンは多岐にわたり、アプリの起動やブラウジング、ソフトの反応の速さといった日常的な操作において、いわゆるサクサク感と呼べる部分の性能とも言える。いわばレスポンスの早さ、実用性能と考えると良いだろう。
無論、筆者はこちらの指標をより重要視している。

流石最新世代ということで、シングル性能は非常に高水準となっている。いわば体感性能は最強クラスに優秀なCPUと言えるだろう。一方で1位の座はクロックが5.7GHzとより高い285Kが辛うじて死守する形となった。

性能検証-ブラウジング

次にChromeやEdgeといったブラウザのCPU実効速度を性能を計測する「ブラウジング処理」のベンチマーク「JetStream2」「Kraken Javascript Benchmark」「speedometer3.0」の結果がこちら。最も分かりやすい利用シーンはWEBページを開く速度だ。

ブラウジングではシングル性能やクロックの高さが非常に色濃く出る処理になっている。また別OSやAndroidスマートフォンといったあらゆる端末で測定出来るのが特徴だ。

「270K」ではブラウジングについてはもちろんサクサクで、「265K」よりも4%ほど性能が改善しており、これによりRyzen 9000番台とほぼ同水準となった。現行CPUの中ではほぼ最速級と言える。
この処理はシングル性能依存だが、クロックが変わらないはずの「265K」よりも高速化しており、おそらくこういった部分で内部レイテンシ改善の効果が効いていると思われる。

シングルは「9700X」もやっぱり強い

今回の本筋とは外れてしまうが、こういったベンチ結果を見るとやはり「Ryzen 7 9700X」のシングル性能の高さに驚かされる。マルチ性能やその立ち位置は大きく異なるものの、4万円前後という価格でこれだけ強力なシングル性能を発揮しているのは素直に優秀と認めざるをえない。

性能検証-Officeソフト

次にPCMark10よりOfficeソフトの処理速度ベンチマークの結果がこちら。

1枚目の「文書作成ソフト」の内訳としては、文章入力・編集・保存・表示・UI応答のような処理の早さを計測する。そのため基本的にはシングル性能に依存する形となる。

2枚目の「表計算ソフト」の内訳としては大量のセル・計算式・データ操作・グラフ処理といった処理の早さを計測する。より重たい負荷が発生するため、シングルに加えてマルチ性能も重要だ。

「表計算」はともかく「文書作成」タスクは非常に悪い結果となってしまった。Core Ultra CPU(265K含む)はこのベンチマークを非常に苦手としている。

測定ミスを避けるために念のため2回実行しているが、やはり同じ結果となり原因は不明だ。内部レイテンシの高さなら265Kよりもスコアは上がるはずで、もしかするとタスクの負荷が軽すぎてEコアで処理されているのかもしれない。

性能検証-写真編集ソフト

次にPCMark10より「写真編集ソフト」の処理速度ベンチマーク及び、Geekbenchの「Photo Filter」の結果がこちら。

1枚目のGeekbench6」の内訳としては、写真編集ソフト上でフィルターを掛ける早さや・色補正、ぼかし、レベル補正、切り抜き、スケーリング、合成といった処理の早さを計測する。いわゆる並列処理なので、マルチ性能が重要となる。

2枚目のPCMark10」の内訳としては、写真編集ソフトでの色調整、フィルタ、変換のような処理の早さを計測する。こちらはシングル性能+マルチ性能が重要視される

こちらでは堂々の第一位を達成した。このタスクだとCore Ultraは非常に優秀な結果を発揮し、競合のRyzen 9000シリーズを退けている。また元の「265K」からは4%性能向上している。

また「PCMark10」タスクについても、9950Xに続いて第2位を達成した。元の「265K」は「14700K」より低いスコアとなっていたので、レイテンシの改善によりIntel史上最速になったという謳い文句は概ね正しいことが伺える。

性能検証-動画編集ソフト

次にAviutlの「エンコード速度」及び、PCMark10より「動画編集ソフト」の処理速度ベンチマークの結果がこちら。

1枚目のAviutlエンコード」の内訳としては、10分の動画をAV1エンコードの激重設定で書き出す処理の早さを計測する。メモリ性能やCPUのトータル性能が重要なタスクだ。

2枚目のPCMark10」の内訳は、動画編集ソフトでの編集作業、プレビュー、エンコード/デコード、フィルタ処理といった処理の早さを計測する。マルチ性能+シングル性能が重要だ。

筆者も「265K」の検証時から「270K」の結果がどうなるか気になっていたのだが、無事トップの座を奪い取る優秀な結果となった。「9950X」との差は僅差ではあるものの、6万円台のCPUで10万円級の(マルチ)性能を発揮している。

やはり写真編集動画編集といったタスクでは非常に優秀な結果を残しており、高いマルチ性能により最高水準のクリエイティブ性能を発揮している。

性能検証-その他

性能検証-その他

次にGeekbench6の「圧縮・解凍速度」及び、「コンパイル・ビルド速度」の処理速度ベンチマークの結果がこちら。

1枚目の「圧縮・解凍ベンチ」の内訳としては、大量のファイルをLZ4やZSTDなどで圧縮展開する際の処理の早さを計測する。こちらはCPUのキャッシュ容量の多さが効くタスクの1つだ。

2枚目の「コンパイル・ビルドベンチ」の内訳としては、コードのコンパイル、インタプリタのビルドなど開発者のビルドに近い処理の速さを計測する。身近な例で言えば、ゲーム起動時に発生するシェーダーコンパイルが分かりやすい例かもしれない。こちらはマルチ性能が非常に重要になるタスクだ。

こちらのタスクでは「265K」や「9700X」とほとんど拮抗という印象だ。一方で「9800X3D」は大容量の3D V-Cacheが効きやすい場面となっており、比較CPUを明確に引き離している。

こちらのタスクは「9950X」には叶わないものの、フラッグシップ級の性能を発揮している。やはりレンダリングやエンコードでも同様であったが、重ためのクリエイティブ用途だと「270K」が非常に優秀な結果を残している。

その他ベンチマーク結果について

最後に解説内では紹介しきれなかったベンチマークのグラフを、こちらにまとめて掲載しておく。

性能検証(一般用途-総合)

最後に一般用途性能のまとめとして、シングルタスク・マルチタスク別にそれぞれ処理結果を平均した、いわゆる「総合一般性能」の結果がこちらになる。測定したシングル13タスク・マルチ10タスクのデータを平均してまとめた。ただし、正規化と幾何平均を使用することで1タスクの重みを均一化している。

特にシングル平均のグラフでは「体感速度がおおよそこのぐらい性能向上している」という重要な指標となり、筆者的にも実際の体感速度差はこのグラフが一番近い印象だ。

「270K」の総合マルチ性能については、24コアの暴力により現行世代最強水準のようだ。競合の「9700X」と比べても+54%ほど優秀で、また元の「265K」と比べても+11%ほど優秀な結果になった。さらに同じ最上位クラスの「9950X」との差は僅差ではあるが、それでも4万円安いというアドバンテージがあるため、「9950X相当」という強みは存分に誇って良いかと思う。また「14700K」と比べても+29%ほど優秀な結果になっておりこれが1.5世代分の性能進化となっている。

一方で総合シングル性能については、Ryzen 9000番台に一歩届かずといった感じで惜しい結果となった。元の「265K」との比較についても、ブーストクロックが同じということでシングル性能の強化は限定的な印象で、内部遅延の改善で確かに所々強化はされているのだが、本当に僅かながらという結果だ。
また、加えて個人的に気になったのがシングルの処理性能は「14700K」からあまり進化していないという点だ。体感速度についてもほぼ同様で、もし現在「13600K」以上の13、14世代のCPUを使用しているユーザーがあえて買い替える意味は薄いというのが正直な所だ。

性能検証 (IPC)

最後に、個人的に重要視しているCPUの「IPC」、つまりクロックあたりの性能をチェックしてみた。

いわばIPCが高いCPUほど同じクロックあたりにこなせる処理量が多く、性能を出しやすい傾向がある。CPUの世代間進化を見るうえでは、このIPCがどれだけ強化されているかはかなり重要なポイントだ。

IPCについては、「ArrowLake-Refresh」は元の「ArrowLake」とほぼ同じという認識で間違いなさそうだ。ブラウザ速度を計測するKrakenのPコアに関しては2.4%の僅かな向上を確認した(おそらく内部レイテンシ改善の恩恵)だが、Cinebenchでは計測誤差程度の差しか確認出来なかった。

また、次世代の「NovaLake」でIPCがここからどれだけ伸びるかにも注目だ。

性能検証 (ゲーム)

タイトル別ゲーム性能

次にゲーム性能の検証として、GPUを統一して合計9タイトルでどれだけFPSが出るかを検証を行った。

ゲーム性能は単純なコア数よりもキャッシュ容量の大きさやレイテンシの低さが大きく影響する。そのため一定以上のコア数を超えてもコア数差は影響が少ないことが多い。
ただし、ゲーム動作速度の検証は他の検証と比べても計測誤差が非常に出やすいため、数%程度の差や順位のわずかな前後については気にしないで欲しい。

CPUの性能差が顕著に確認可能なFF14ベンチ(競技系タイトルの特性に近い)を代表例とすると、元の「265K」と比べて4%高い性能となったが、依然「14700K」には劣り競合の「9700X」と比べて約12.6%低い性能となってしまった。
この結果から、対戦系タイトルでFPSを伸ばすのは依然不得意だと思われる。

ゲーム各タイトルについて解説
「FINAL FANTASY XIV 黄金のレガシー」について

このタイトルはスクウェア・エニックスの独自開発のゲームエンジンで、DirectX 11で動作する軽量級タイトルだ。ゲームの特性として、CPU負荷は比較的軽いが競技系タイトルに近い挙動になっており、「ApexLegends」や「Fortnite」・「オーバーウォッチ」等のシューティングタイトルは概ねこれに近い傾向になると思われる。CPUのゲーム性能でFPSが大きく変わるタイトルだ。

「Cyberpunk 2077」について

このタイトルはCD PROJEKT REDの独自開発の「REDengine4」というゲームエンジン上で、DirectX 12で動作する重量級タイトルだ。NVIDIAのレイトレーシング、DLSS、フレーム生成に加え、AMDのFSRなどにも幅広く対応しており、最新のグラフィック技術を積極的に取り込んできたタイトルでもある。そのためかCPUの最適化も非常に進んでおり、ゲーム性能差が出にくい場面も多いため、Core Ultra 200Sシリーズでもかなり奮闘する結果となっている。

「モンスターハンターワイルズ」について

このタイトルはカプコン独自開発の「RE engine」というゲームエンジン上で、DirectX 12で動作する重量級タイトルだ。初期バージョンのベンチマークではCPUの性能差が顕著であったが、ゲーム本編は度重なるアプデで最適化が入ったためCPU間で性能差が出にくくなった。

「ホグワーツ・レガシー」について

このタイトルは汎用の「Unreal Engine 4」上で、DirectX 12で動作する重量級タイトルだ。最適化はかなり甘い印象で、公式要件でも最低16GBのシステムメモリを要求している。実動作についてもCPUのゲーム性能差がかなり出やすい印象だ。「VRChat」や「Tarkov」に近い挙動だと感じている

「黒神話:悟空」について

このタイトルは汎用の「Unreal Engine 5」上で、DirectX 12で動作する重量級タイトルだ。UE5らしい重さはあるものの、よく作り込まれたタイトルになっており、最適化は非常にしっかりと行われている印象だ。そのためCPU間でほとんど性能差が出ない。

「Far Cry 6」について

このタイトルは独自開発のゲームエンジン「Dunia Engine」上で、DirectX 12で動作する軽量級タイトルだ。2021年発売のAAA級タイトルとしてはCPU負荷は比較的軽めだが、最適化は甘い印象だ。そのためCPUの性能差も出やすい。

「Forza Horizon 6」について

このタイトルはPlayground Gamesが開発するオープンワールドレースゲームで、「ForzaTech」という内製ゲームエンジンを採用し、DirectX 12で動作する。
2026年発売の最新タイトルとして、最高設定では非常に重たいCPU負荷が特徴で、かなりのマルチ性能が要求される。

「Marvel Rivals」について

このタイトルは汎用の「Unreal Engine 5」上で、DirectX 12で動作する軽量級タイトルだ。描画負荷はUE5採用タイトルとしては比較的軽めの競技系タイトルになっており、高フレームレート環境でCPU性能差もそれなりに確認出来る。

「Hitman World of Assassination」について

このタイトルはIO Interactiveの独自エンジン「Glacier」上で、DirectX 12で動作する軽量級タイトルだ。CPUのゲーム性能差は出やすい印象で、特にX3Dモデルが特筆した性能を発揮している。

解像度別のゲーム性能

「WQHD解像度」のタイトル別ゲーム性能

基本的にゲームでは解像度が上がるほどグラボ側の負荷が大きくなる。その結果、フレームレートの上限がGPU性能に左右されやすくなり、CPU性能による差は相対的に出にくくなる。そのため、低解像度ではCPU性能差が目立ちやすく、高解像度ではGPU性能差が目立ちやすい。

「4K解像度」のタイトル別ゲーム性能

RTX 4070 Ti SUPERクラスでも、4K解像度ではGPU側の負荷がかなり重くなるため、CPUごとの性能差はかなり出にくくなる。特に高画質設定ではグラボ側がボトルネックになりやすく、CPU比較として見ると、差が出ても計測誤差レベルに収まっている。

総合ゲーム性能

最後にゲーム性能のまとめとして、全タイトルを平均したいわゆる「総合ゲーム性能」の結果がこちらになる。性能差が出ない「黒神話」を除く、測定した8個のデータを平均してまとめた。ただし、正規化と幾何平均を使用することで1タイトルの重みを均一化している。

という訳で「270K」だが、確かに元の「265K」からのゲーム性能の向上が確認できた。ただやはり本当に微増で劇的改善というほどではないという印象で、今回の検証ではRyzen 9000シリーズ通常型に一歩届かない結果となった。

補足しておくと、海外大手検証では「9700X」と比べて1.2%差で勝ちという結果だが、当チャンネルの上記のタイトル選定だと「9950X」比で3.1%差で負けといった結果になった。

おそらくだが、よりCPU負荷がより高い重量級タイトルやレイトレーシングのみで結果を集計すれば、「9700X」に匹敵もしくは上回るぐらいのゲームパフォーマンスになっており、タイトルによっては逆転も容易なことを考えると「9700X」とかなり近いゲーム性能、と呼べるくらいにはなったのではないだろうか。

立ち塞がるゲーム最強CPU「9800X3D」

勿論だが、3D V-Cacheを搭載したゲーム向けの「X3Dシリーズ」には流石に届かない。特に「9800X3D」にはゲーム性能は20.7%も大きく引き離されている。

さらに価格についても「9800X3D」はほぼ同価格帯に位置しているため、ゲーマー向けなら間違いなくこちらがオススメとなってしまう。やはり立ち位置は「9950X相当」のクリエイター向けCPUというのがやはり一番分かりやすい説明だと感じている。

発熱・消費電力

CPU動作時の温度・消費電力

それでは次に、消費電力と発熱について確認していく。元の「265K」と比べると、やはりコアが増えた分だけどちらも増加しており、消費電力が+52W(つまりEコア1基あたり13W)、発熱が+10度という具合になっている。コア数は増えれば増えるだけ原則消費電力も増えるので、正直この結果はどうしようもないという感想だ。

一方で同じ水準のマルチ性能を有する「9950X」と比べると、向こうは消費電力が低いもののコアの発熱が集中しやすいためか、温度はより高いという違いが見られる。そのためCPU温度は意外にも「270K」の方が低い結果となった。「265K」をレビューした時も感じたのだが、Core Ultraシリーズは冷やしやすい、という感想だ。(それでも簡易水冷クーラーは推奨)

電力制限・PPT解放

次に電力制限を調整した場合の性能をチェックしてみた。「270K」ではそこまで無茶をしていない様子であることが分かったものの、PL値(電力制限)を解放すると+5%程マルチ性能が向上した。ただ伸びしろとしては微妙なので、このCPUをOCする意味はあまり無さそうに見える。

逆に電力を絞りたい方には朗報だ。強いて言えば180Wあたりまではそこまで性能が落ちないようで、概ね−28%の消費電力で−11%のマルチ性能低下という結果となった。そのためPL値を落として空冷クーラーで運用するというスタイルも個人的には全然アリだと感じている(この場合シングル性能・ゲーム性能は変わらない)

「Core Ultra 7 270K Plus」のまとめ

6万円台でマルチ最強のハイエンドCPU

シングル性能★★★★★(5/5) 
マルチ性能★★(5/5) 
ゲーム性能(3/5) 
消費電力・発熱(3/5) 
コスパ★★★(5/5) 
総合オススメ度★★(4/5) 

・24コアで現行世代最強水準のマルチ性能
・優秀なシングル性能
・ほぼ「Ryzen 9 9950X相当」のCPU (ジェネリック9950X)
・わずか6万円で購入可能
・マルチ性能のコスパは”最強”

・性能は良いがあえて今買う意味が薄い
・ゲームは競合のX3D CPUに大敗
・消費電力がやや高い
“次世代CPUへの繋ぎ担当

それでは、今回レビューしてみた感想を総評としてまとめてみた。

まずはやはり注目すべきはマルチ性能で、このCPUの最大の魅力というのは間違いないであろう。PコアのHTは廃止されたがRaptorLake時代からは超強化されたEコア含め、24コアによる圧倒的なコア数の暴力を誇り、マルチ性能依存系のタスクは競合同価格のCPUをねじ伏せる地力を持っている。そのため、普段動画編集やレンダリングがメインのPC用途のユーザーにとっては、むしろ現状最適解と呼べるポテンシャルを秘めている

その上価格は6万円台になっており、この価格帯でこのマルチ性能を実現したのは端的に言って過去最高のコストパフォーマンスではないだろうか。例えば同じマルチ性能をRyzenで買おうとすると、少なくとも+4万円程掛かる。そのためこの最高水準のマルチ性能がたった6万円台で買えるというのは純粋に驚異的という印象だ。(良い時代になったものだ)

次に、最新アーキテクチャを採用しているため、シングル性能はかなり強力という点だ。クロックはIntelとしてはそこまで高く無いものの、優秀なIPCから繰り出されるシングル性能は非常に強力だ。一部タスクではRyzen 9000番台に僅差で負けはするものの、それでもあらゆるソフトで動作はサクサクだ。2026年に入手可能なCPUとしては完成度は十分に高いと言える。

むしろ、動作感としては完全に「Ryzen 9 9950X」と同等という印象で、説明する側としてもほぼ9950Xと同等水準というのが一番分かりやすい説明となっている。マルチ性能・シングル性能・ゲーム性能ともに9950Xが一番近いため、「6万円台で買えるようになったインテル版9950X」、この認識でもはやOKだと思われる。(ジェネリック9950X)

一方で気になった点だが、やはりこのCPUを評価する上で薄々感じていたことではあるのだが、CPU単体で見た場合の性能自体は十分優秀だが、今を取りまく環境が非常に悪いという印象だ。例えば新規でこのCPUでPCを組むならば、高価なDDR5メモリが必要になってくるうえ、今世代限りのサポートとされる800番台マザーも必要になる。だがその割に「14700Kあたりから劇的に進化しているか?」と聞かれると、あくまで順当強化といった水準だ。逆に、LGA1851マザーを使える「265Kや245K等のモデルからの買い替え需要があるのか?」と聞かれたら、やはりあくまでリフレッシュモデルであるため、進化は限定的となってしまう。そのため直近のCPUからの買い替えは微妙だと感じている。

では、逆に古い世代のCPUからの買い替え、例えば「Ryzen 5000番台やintel 12世代以前からの買い替えならアリなのか?」と聞かれると、もちろんこれらのCPUからの買い替えでは、「体感でも非常に高速化する」と自信を持って回答出来る。ただし、ここでもう一つ大きな懸念点があり、このCPUは明確に「繋ぎ世代」という意味合いが強い。公言はまだされていないが、直近のintelでは大まかに2年周期で新世代が投入されるため、おそらく半年程度で登場するであろう次の世代更新のタイミングで、新規格のマザー登場と加えて劇的な性能強化がなされた「NovaLake」が登場すると言われている。あくまで噂ではあるが、ゲーム性能含めかなり強化される可能性が高く、「自作erがあえて、いま、このCPUを選ぶ意味は?」と自問自答すると、非常に答えにくい状況になってしまっている。

そのため、このCPUを選ぶべき人としては「今すぐPCが欲しい&更新したい人」それも「ゲーム性能よりも強力なマルチ性能が必要なクリエイティブタスクを重視する人」となる。つまるところ、オススメできる範囲が非常に限定されてしまう。なので、CPUとしての完成度はかなり高いのだが、「今の環境が最悪・このCPUが刺さる人が限定的」この一言に付きる。

また、ゲーム性能は流石にX3Dモデルには叶わない。「9700X」や「9950X」といったRyzenの通常型と比べると近いゲーム性能を発揮しているものの、内部構造を改善したとはいえ流石にX3Dモデルと戦うには分が悪い。さらにあちらも6万円台という同価格に位置している上、20%↑のゲーム性能を実現している。そのためPCの使用用途がゲームメインの場合、流石にX3Dモデルの方がオススメという結論になる(なおかつマザボも次世代に使い回せる)

とはいえ個人的な感想としては、意外と優秀なCPUだったというのが本音だ。本当に出す時期が1〜2年早ければ、Ryzen 9000番台の通常型全てをコストパフォーマンスで破壊でき、評価は非常に高かったと思われる。

という訳で気になった方はぜひチェックしてみて欲しい。

Aile
Aile

馬鹿みたいなマルチ性能を誇る24コアの暴力の化身、なのに6万円台で買えちゃうコスパが二重丸、そのうえシングル性能もかなり高水準、ただし今の環境が最悪という超逆風CPU、Core Ultra 7 270K Plusでした。

インテル
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